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【コラム】「左サイドバック志知孝明が秘める大きな可能性」 #水戸ホーリーホック

【コラム】「左サイドバック志知孝明が秘める大きな可能性」 #水戸ホーリーホック

第9節甲府戦。「無敗対決」と注目を集めた一戦は終了間際に勝負が決した。
90分+4分、ペナルティエリア前で獲得したFK。キッカーの志知孝明は壁の一番外に入った清水慎太郎がしゃがんだ頭の上を狙いすましたキックで通し、ゴールネットに突き刺した。志知の正確かつ強力なキックが劇的勝利をもたらした。

今季、松本山雅から水戸に加入した志知。左サイドバックとして開幕から全試合に先発出場を果たしており、高い攻撃力を発揮してチームの勝利に貢献してきた。第4節千葉戦では0対1のビハインドで迎えた後半アディショナルタイムに強烈な左足シュートを決めて、ドローに持ち込んだ。彼の左足は今季躍進を見せている水戸の大きな武器となっている。

ただ、志知が左サイドバックとしてプレーしたのは水戸に移籍してきたから。昨季までは攻撃的なポジションでプレーしてきた。だが、16年に松本に加入したものの、なかなか才能を開花させることはできなかった。

そんな志知にサイドバックとしての適性を見出したのは、水戸の西村卓朗強化部長であった。「より攻撃的に」をテーマに今季のチーム作りを行っていた西村強化部長。特に昨季クロスからの得点が少なかったことを踏まえ、両サイドバックに攻撃的な選手を加えることを考えていた。その中で技術力が高く、スピードがあり、フィジカルも強い志知をサイドバックにコンバートしようと決めたのだった。「戦術的な面は後天的に教えることができます。でも、技術やスピードは教えることはできない。なので、そういう能力がある選手をサイドバックしようと思っていました」。西村強化部長のその発想が、“左サイドバック志知”を生み出した。本人も「新しいことを開拓したいですし、新しいことを学んでいきたい」と新たなチャレンジを快く受け入れて、水戸にやってきた。

そして、開幕から期待に応える、いや、期待以上のプレーを見せている。それは現在の結果が証明している。「サイドバックなので守備をしっかりしないといけないけど、守備だけでは自分が起用されている意味はない。ゴールに直結する仕事をしたい」と言うように、主に攻撃面で輝きを放っているものの、試合を重ねるごとに守備の意識も高まっており、9試合で4失点の堅守にも貢献している。“DF”としての風格も試合ごとに増してきている。

サイドバックにコンバートされてから、まだ3か月。まだこれからさらに進化していくことは間違いない。無限の可能性に向けて、志知は左サイドを駆け抜けていく。